ブレイクストーリー:一攫千金を夢見て

関西で求人を探してから、もうかれこれ10年がたつ。
いつの間にか俺は…ハローワークの職員の前に座ると、職員がため息をつくようになってしまった。

誰の責任とは言わない。時代の責任だ。

昔は俺もこんなのじゃなかった。バブルのころは求人があったらすぐに気に入る求人に応募して、それで合わなかったらすぐに転職をしていた。

いつの間にか、そういった求人の歯車から私は落とされてしまった。
年齢という老朽化…それに対して今以上に強くなる自分の傲慢さ…歯車はぎしぎしと鈍い音を立てながら破滅へ向かおうとしている。

絶望の中私は、一攫千金ができる「マグロ漁船の仕事」に興味がわき応募した。
マグロ漁船は人生の終わり…昔誰かが言っていたが私はこの関西でどうしても、もう一度あがいてみたかった。

勤務初日、私は港へ向かった。破産前の同じにおいがした仲間がたくさんいた。
しかし、中にそうとも思わせぬ男が一人いた。目が野心に満ち溢れていた。

「俺は、この船の船長になる。そして、海賊王になる!!」

若気の至りか、彼は子供が日曜日の朝に見ているアニメの主人公がいいそうなセリフを言っていた。

しかし、それから20日後事件が起きた。

なんと彼が次期船長に任命されたのだ。

奇跡はいつ起きるかわからない。私はこれからこの船で彼を超えるほどの力を身に着けて
陸に上がった日は…この大金を使ってファンドになってみせる。

転職とは…まさに奇跡。 求人とはその奇跡をつなぐもの。

この船で私はそう思う。